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ぐるったネットワークを巡る伝説と文化伝承 実施リポート

第11回講座「大町温泉郷ぐるったの民話と文化伝承」 実施リポート

1月16日、今年度最後の講座を開催しました。
講師は大町市文化財センター相澤 亮平さんです。
相沢さんは、ぐるったメンバーの「もんぺの会」に、アドバイスをしてくださっています。

資料を参考にしながら、まずは「昔の人は、この土地をどう考え感じただろうか?」をテーマにお話して頂きました。
 

 

大町から見て、西の山にそそり立つ鹿島槍ヶ岳や爺ケ岳。その中で「蓮華岳」はあまり知名度がない。
しかし、私は昨年あたり頃からこの「蓮華岳」に注目をし出した。

正面にせり出していて街に一番近く、日が入る山。
あくまでも、仮定ではあるがお話したいと思う。
昨年、大町市在住の写真家の方のお話を聞いている中で、市民の方にぜひ蓮華岳を注目してほしいと言っていた。
まず、蓮華岳には、王子神社の奥宮が祀られている。
そこで、私の考えとしては、蓮華岳が大町の「神奈備」(カムナビ)ではないかと考えた。




万葉集や古事記など古い文献にはよく出てくるが、昔の人は土地を守る神が宿る山=カムナビと考えた。
カムナビの定義とは、
「神が天から降りてくる場所とし進行された山や森」(岩波古語辞典)で、古くは万葉集にも歌われている。
周辺地域の住民に崇拝される人里近くの霊山であり、麓にも神社を祀る。
全国にもいくつかあるが、その集落から常日頃眺められ、そこに住む人々の心の拠り所であるとともに、その土地のシンボルでもあった。


この条件を鑑みて考えると、蓮華岳には、王子神社の奥宮があり人々は王子神社と同じように仰いでいたのではないかと思う。
また、蓮華から向かって左(南)には夕日が入り右には夕陽は入らない。(日没がしない。)
日が入るのは、なぜ重要なのかというと、仏教の考えでは、西に極楽浄土があると考え、普段から西に向かって拝んでいたと考えられ、その
目の行く先にそそり立つのが蓮華岳。



カムナビ山のふもとには、川も流れている。カムナビ川と呼ぶが、大町も高瀬川、篭川、鹿島川が存在する。
カムナビ山は左右対称でなだらかな山。柿のような格好をしている。蓮華岳もそのような形である。


また、上原地区にある上原遺跡からも蓮華岳が眺めるが、縄文人達もこの山を意識しながらストーンサークルを作ったと思う。
私は蓮華岳と上原遺跡はセットとして考えたい。
そう考えると楽しい。 
 

 

 
続いて、「寺院の立地ー仁科三十三番札所御詠歌から探る」と題してのお話。
「仁科三十三番詠歌」と題する小冊子があるが、これは大町の街中にある「わちがい」さんに保管されていたもので、大町市指定文化財栗林家の文書の中の一冊。
今から250年前、当時大町村の弾誓寺住職の覚阿上人が作った三十三観音札所のための御詠歌集。

まず、十七番 大町 くるみ原 夕陽庵(せきようあん)

此寺の 入日のかけを 見てもなを  ねかふ心そ 西にかたふく
意味は
「このお寺から西の山並みに傾く夕陽の輝きを仰ぎ見るにつけても、いっそう西方極楽浄土への憧れは募り、入り日を追って山の彼方へ心は吸い寄せられていく。」
この「入り日」というのは、入日に託す西方極楽浄土への憧れ(日想感)を表し、「くるみ原」というのは、現在の三日町の中ほどの場所で、ここに夕陽庵があった。
 

この場所は旧大町長野線の道路に面して、西の屋山の夕日を望むのに好立地の場所です。まことに所を得た場所といえます。昭和16年の大火で集落の大半が焼け、この夕陽庵も焼けましたが、本尊は村人が抱きかかえて助かり、再建されたこぎれいな庵に安置されました。

十番 大出村 三川堂
身のはての わたりゆくてふ みつせ川 名をきくさえも そてはぬれけり

意味は、この世の生を終えて、あの世(冥土)へ行く途中に渡っていくのだという三つ瀬川(三途の川)
その名をきくだけでも涙で着物の袖は濡れるのだ。


三川堂とは大出地区にあり、別名西正院、大姥堂のことです。
三川とは、高瀬川・鹿島川・篭川の三川合流点に近い場所にあることに由来します。 立山信仰の姥尊を祭る堂で知られています。
 





この大町に残る御詠歌は、もちろん仏教的モチーフを明確に持ち、しかもそれが札所寺院堂の土地柄・情景を巧みに融合して重層的イメージを醸しだしているのが特徴であり、こんな事を頭に置きながら各地を回ると、
見える景色がと今までとは違って見えると思う。

この他にも、山姥についてのお話をして頂き、これを受けて「もんぺの会」の菅沢さんよりから「ものくわぬ女」と鹿島槍ガ岳に伝わる「鶴の恩返し」を語っていただきました。

あっという間に2時間が過ぎてしまいましたが、参加者の皆さんもお二人のお話に満足していただいた様子。
やはり地元の歴史を知るということはとても楽しいものだと思いました。

この日の講座で、今年度企画した資源講座は終了しました。
各回大勢の皆様にご参加頂き、御礼申し上げます。
来年度も様々なイベントを企画し、多くの方々にもっと大町を好きになっていただける様活動して参ります。